微生物と植物が生命を支えている

Nitrogen_Cycle_ja

 
もし、
「光合成サプリメント」
「窒素固定(菌)サプリメント」
のようなものがあったら、欲しいと思うでしょうか?

そんな素晴らしいものがもしあったら、ぜひ、何としても欲しいものですね!

「光合成? …って植物がやることじゃないの?」
「チッソって、空気中の窒素? それが何か意味があるんですか?」
と、思うかもしれません。

答えは、ものすごく大事どころか、この2つがあるから、人間も含めたほぼ全ての動物は生きていくことができます。あらゆる動物の命の根源であると言えます。なので逆に言えば、もし仮に冒頭の2つがあったならば(SFレベルの話ですが)、動物でも何も食事をしなくても、日光を浴びて呼吸さえしていれば生きていくことができる、ということになります。実際のところは前者はまず実現不可能ですが、後者に近いものは実現しているという話もあります。

高校の生物の内容ですが、植物は、
「日光のエネルギー」と「水(H2O)」と「二酸化炭素(CO2)」を使って、
「酸素(O2)」と「有機物(C6H12O6=グルコース=ブドウ糖)」を生み出します。

12H2O + 6CO2 → 6O2 + 6H2O + C6H12O6

当たり前で基本過ぎる話ではありますが、これは無機物から有機物を生成する、また、太陽エネルギーを食物的エネルギー(化学エネルギー)に変換する最初の代謝で、このエネルギーを含んだ有機物があるから、あらゆる動物は生きていくことができます。このように動物は植物に依存して生きているので、従属栄養生物と呼ばれます。一方植物は他者から有機物を得なくてもこのように自己で無機物から有機物を生成できるので、独立栄養生物と呼ばれます。

動物がもしグルコース等の有機物を得ることができなければ、体を動かしたり、考えたり、心臓や肺や臓器を動かすといった基礎代謝ができません。また体を作る材料も得られませんから、当然ながら生きていくことができません。

また、動物が呼吸するときに取り込む酸素(植物も呼吸します)も、上記の通り植物の光合成によって合成され、供給されます。

こうして見ると、ふだんあまり意識はしない植物のすごさ、偉大さがよくわかります。

さらに、その植物も動物も含めたほぼ全ての生命を支えている存在があります。それが、窒素固定生物です。

炭水化物は元素記号で表すとC(炭素)H(水素)O(酸素)です。そこに窒素(N)が加わるとアミノ酸(NCHO)になり、アミノ酸の巨大な塊がたんぱく質です。たんぱく質は英語でProteinと言い、これの語源は「第一の物質」という意味で、つまり生命にとって最も重要な物質です。植物も自身で生成するたんぱく質によって細胞を増やして成長していきます。動物も同様ですし、人間の体はほとんどたんぱく質でできて生きていると言っても良いものです。例えば、筋肉、皮膚や皮膚に含まれるコラーゲン、髪の毛、血液中で酸素を運搬するヘモグロビン、食べ物を消化したり体内であらゆる物質を代謝する数千種類以上の酵素、免疫細胞が作る抗体、これら全てたんぱく質です。そのたんぱく質ができるためには、窒素が必要です。
また、窒素はアミノ酸やたんぱく質になる以外にも、核酸(RNAとDNA)や、あらゆる活動に必要なエネルギーの貯蔵物質であるATP(アデノシン三リン酸)の中にも必ず含まれるものです。
つまり、植物も動物も、窒素を取り込んで活用することができなければ、生命を維持することが、それ以前に生命を形成することができません。

「なるほど、窒素がすごく大事なのはわかった、でも窒素なんて空気中にいくらでもあるのでは?」
と思うかもしれません。
大気の約80%は窒素ですが、これは窒素ガス(N2)という非常に安定した分子なので、これを植物や動物がいくら呼吸して取り込んでも、体内で化合物として活用することは残念ながらできません。この窒素ガスを、反応性の高い(より安定度の低い)窒素化合物(アンモニア(NH3)等)に変換(固定)してくれるのが、窒素固定生物です。そしてアンモニア等の無機態窒素化合物を取り込んで有機態のアミノ酸を作るのが、植物です。この最初の一歩、窒素固定生物が窒素ガスを窒素化合物に固定する働きがなければ、ほとんど全ての植物も動物も生きていくことができません! (窒素固定は工業的にも行われていて技術もだいぶ進んでいるようです。これからの人類の一大テーマの一つだと言えるでしょう。)

つまりまとめると、
動物は酸素を植物全般に依存し、
炭水化物を食用植物(や間接的に動物)に依存し、
植物も動物も、窒素を窒素固定生物に依存して生きている、
ということになります。

ふだん、植物や窒素固定生物のおかげで生きていると思う人はほとんどいないと思いますが、実際にはこうして私たちの生命が支えられていることがわかると、見る目も違ってくるかもしれません。以前ある農家をお伺いしたときに、「政治家がどんなに偉いって言ったって農家がいなけりゃ生きていけない」と、大きな誇りを持って農業に取り組む方が言っていました。二宮尊徳も「農は万業の大本なり」と言ったそうですが、こうして見るとその意味がよくわかります。十分な食料の生産があるからこそ、あらゆる経済活動も生まれてきます。狩猟採集の縄文時代の経済規模は相当小さかったはずです。そう考えると、今日本の食料自給率はカロリーベースで40%程度で、先進国中ズバ抜けていちばん低いですから、やはり農業を根本的に見直して健全に発展させていくことが非常に大事だと思います。

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